AWS認定試験奮闘記(基本編)

自分への投資

いきなりですが、きっと皆さんはこう考えているはずです。
「なるべくお金を使わずに合格したい。」
今すぐこの考え方を捨てて下さい。

なぜAWS認定を受けようと思いましたか?
自分の価値を高め、それを証明するためかと思います。
自分へ投資し、自分の価値が高まった結果、あなたの収入は増えるはずです。

2023年3月現在、AWS技術者はSES、あるいはフリーランス契約では100~120万円/月の値がついています。あなたが会社員で、契約金の50%しか受け取れないとしても、50~60万円/月、年収600~720万円の価値になります。実際には2~3年の実務経験やフリーランスの場合は信用や過去の実績は必要になるかとは思いますが、これが社会が認めるAWSエンジニアの価値になります。

海外ですと、AWS認定の資格を持つエンジニアの年収は15~20万ドルになっているようです。海外は健康保険は自分で契約しなければならなかったり、家賃がかなり高かったり、そもそもビジネス規模がグローバルだったりもするので、日本との単純比較はできませんが、日本同様ニーズの高い存在だということが伺えます。

これを踏まえて、数千円や数万円の投資をケチって、取り返しのつかない資産である「時間」を無駄にする行為には何の意味もありません。自分への投資を行い、効率よく勉強しましょう。

会社と交渉する

AWSエンジニアの存在は、会社としても企業価値を高められる事ですので、書籍の購入、Udemmyの受講費用、受験費用などを会社に払ってもらえる可能性があります。会社として社員に取得を奨励しているケースもありますし、合格するとお祝い金が支給される制度を持つ企業もあるようです。

試験対策

各資格のページでも何を勉強したかについて触れますが、基本となる教科書について以下で触れておきます。

  • AWS Training and Certification – Skill Builder
    AWS公式の学習素材が沢山おいてあります。
    $29/月の有料プランを使ってください。
    完全な模試を受けることができるのと、実際にAWSのメニューを操作して学ぶことができる、ラボ型学習が可能になります。
    各種ビデオは認定試験レベルの情報まで触れていない事が多いですが、広く浅く理解するのには向いています。また、「Learning Plan」という、各資格ごとに見ておくべき学習素材をまとめた再生リストも用意してくれています。
    無料だと模試が20問までになるのと、ラボ型学習ができなかったりで制限がかかります。本番に最も近い難易度の確認ができるのは公式しかありませんので、有料プランを利用した方が良いかと思います。目的の試験に合格すれば解約すれば良いです。
  • 各種対策本
    各試験のレベルに合わせて情報が最もまとまっている資料になります。
    ただし、本に載っていない情報が試験に出たり、本の中の問題は本番試験レベルでなかったり、試験が改定されて情報が古くなっていたりとかはありますので、試験範囲の70%位のカバー率と思った方が良いかもしれません。
    まずは本を読みながら、自分でメモを取り(私の場合は図が描けるのでPPTにまとめました)、他の教材や模試で新たに出てきた情報を書き足していくのが良いかと思います。
  • Udemy
    有名な日本語の教材及び模試がありますが、Udemyの模試は本番よりも難易度が高めです(ソリューションアーキテクト:アソシエイトは本番と同じレベル)。講師本人も「難易度は高めに設定している」「後少しで合格という方が本番で出てくる難問を拾って合格できるようにしている」とおっしゃる通り、教則本で勉強した程度では50点位しか取れないような難問が揃っています。
    良く言えばこの模試の解答の解説には対策本には載っていないような情報があり、拾っておくべきかと思います。悪く言えば、この模試で自分が合否ラインにいるかどうかは判定できないということになります。
    また、日本語でカバーされている認定試験の種類が少ないのも難点になります。クラウドプラクティショナー、ソリューションアーキテクト:アソシエイト、デベロッパー:アソシエイトのみになります。
    Udemyはしょっちゅう割引セールを行っているようですので、セール中に購入しておくのが良いかと思います。
  • YouTube
    試験レベルではないのですが、AWSの各種サービスを短いビデオで解説してくれているものがあります。図やアニメーションで解説してくれるので非常にわかりやすいので、プラクティショナーレベルの方には序盤の学習に向いているかと思います。
    ただ、マイナーな試験になると日本語教材が少なく、英語コンテンツで勉強となるのは否めません。
  • 有料模試サイト
    いくつか有料の模試サイトがあるのですが、運営企業の名前が書いてなかったり、日本の法律で求められている「特定商取引に関する表記」がなかったり、翻訳が明らかに変だったり、評価欄が明らかにフェイクだったり、問合せ先が無かったりします。最悪の場合、個人情報やクレジットカード情報を盗まれたり、騙されやすい人リストに載ってしまったりする可能性も否めませんので、私は利用していません。
    本番と同じ問題が多数出たという情報もあるのですが、試験の規約で試験内容を漏洩させてはならないというものがありますので、規約違反の可能性もあります。
    運営企業がはっきりしないサイトはリスクも考えて利用するかどうか決めましょう。
  • 無料模試サイト
    会員登録を求められない無料模試サイトや設問などは試す価値があるかと思います。本番レベルでない設問であっても、知識の再確認等で利用できるかと思います。
  • AWS認定試験対策スマホアプリ
    Google PlayにはいくつかのAWS認定試験対策アプリがあります。課金するとより多くの設問が公開されるようですが、本番試験レベルではないと感じたので、無料の範囲でだけ使用しました。それでも知識の再確認や、対策本には載っていない情報なども出題される等ありますので、見ておくのは良いかと思います。
    ただし、こちらも日本語対応のものはクラウドプラクティショナーとソリューションアーキテクト:アソシエイトしかありませんので、それ以外となると英語のアプリを試してみるということになるかと思います。
  • ChatGPT
    ChatGPTに「AWS認定試験の〇〇レベルについて1問出題して。解答はは私が答えるまで表示しないで。」と打ち込むと1問出題してくれます。本番試験レベルとは言い難いですが、無いよりマシなクイズレベルで学習することができます。
    また、似ている2つのサービスの違いをChatGPTに聞いてみると、自分で探さなくても違いをまとめてくれるので楽です。
    注意点としては、bing版だとクイズの解答を隠してくれなかったのと、OpenAI版は現在2021年9月までの知識しか蓄えていないので、最新の情報ではない可能性があることです。
  • AWS サービス別資料
    対策本やサイトなどで「Black Belt」と書かれているものです。AWSが過去のイベント(セミナー)等で公開したビデオ教材が沢山置かれています。これも本番レベルの情報が全て載っているとは言えないのと、Skill Builderと比べて時間が長めなので学習に時間がかかってしまうのが難点ですが、知識の定着には役立つかと思います。全部やろうと思うと圧倒されてしまうと思いますので、対策本では分かりにくいとか、模試の結果自分が苦手とする分野のみ追加学習で使用するのが良いかと思います。
  • 【2023年】AWS全サービスまとめ
    AWSの各サービスの説明を短くまとめてくれています。
    対策本には載っていないけれど、試験範囲ではあるサービスについては、ここの情報をメモにコピペしておいて、なんとなくどういうサービスなのかを知っておく程度で良いかと思います。
    ただし、デベロッパー:アソシエイトの試験で、本にはないAmplifyのCLIコマンドについて聞かれましたので、その場合は諦めるしか無いかなと思います。

試験本番

  • 100点を目指さない
    受けられる模試の回数やレベルにどうしても制限がありますので、不意に出てくる難問や、対策本に載っていないようなサービスの設問は諦めて勘や消去法で回答し、不正解を受け入れましょう。100点を取らなくても、合格点を越えていたら合格です。
    あなた以外の人はあなたが合格したかどうかしか興味がありません。
  • 設問を読みながら、解答を選択しておく
    設問の中に必ず解答に結びつくキーワードがあります。「NoSQL」なら「DynamoDB」かも知れないなとか、「サーバーレスでプログラム」となったら「Lambda」かなとか、設問を読みながら予め頭の中に解答を思い浮かべておきます。予め選択肢も選択しておき、ハズレであるはずの選択肢をさっと読んで、自分の選択が正しいことを確認して、すぐ次の設問に移ります。
    自分が思い浮かべた選択肢がないとか、2つどっちでも正解かもしれないと迷ったら、設問に戻って再度キーワードを探します。
  • 各選択肢のどこが違うのか把握する
    A:○○で✕✕
    B:〇〇で△△
    C:□□で✕✕
    D:□□で△△
    という2択x2択の組み合わせ4通りのパターンの選択肢がよくあります。アソシエイトレベルだと設問も選択肢も長文で、選択肢のどこが違っていてるのか把握しづらいことが多いのですが、早めに間違っている選択肢を除外するためにも、どこが違うのかの間違い探しをやる必要があります。
    上記の場合、「△△」が明らかに違うのであれば、BDは除外し、○と□の差について考え、設問内のキーワードを再度探しに行くということをします。
  • 消去法を使う
    4~5つの選択肢のうち、明らかに違うものを除外します。1つを選べという設問では、残り3つには正解でない理由があるはずです。明らかに正解でないと分かっているものを除外すれば、迷っても2択くらいまでには絞れるはずです。その後、設問を再度読んで正解を探します。
  • Amazon社が言いたいことは何かを考える
    Amazon社はクラウドの利点を伝えたい、教科書に沿った設計をして欲しいと考えていますので、解答もそれに沿ったものになるはずです。
    Amazon社が推す、サーバーレスサービス(API Gateway、Lambda、DynamoDB、S3)やDB(Aurora)や疎結合(SQS、SNS)の利点を答えさせがちな設問が多くなります。これらサービスと他との違いを把握して、Amazon社が言いたいことを想像しながら設問や選択肢をみると、正解を抽出しやすいかと思います。

まとめ

多くの有料・無料の学習法がありますが、やはり信用ができてクオリティも担保され、結果的に効率よく学習できるのは有料版となるかと思います。自分への投資だと思って、有料の勉強法を使いましょう。ただし、怪しいサイトには注意が必要です。

対策本で全てだとは思わない方が良いです。さらに深掘りするためになるべく沢山の模試をやることは必須かと思います。日本語がなければ英語でやってみるのも致し方ないかと思います。

本番試験中、ノーマークだったサービスの設問や選択肢が出る場合もありますが、諦めも肝心です。中には得点に影響しない設問も混ざっていますので、その設問であることを祈って、勘で回答しましょう。
そうでないサービスについては広い知識が問われますので、模試を何度も繰り返して、キーワードの記憶と知識の定着を行ってみてください。

消去法で2択になった時、2つの違いを理解しているかどうかの勝負になります。似ているサービス、機能については必ず違いを応えられるようにしておきましょう。

勉強期間中一時的にやりたいことができなかったり、プライベートの時間を潰さないといけなくなったりしますが、全て自分への投資です。我慢するのか、バランスを取るのか自分とよく相談して、無理のない範囲で学習してください。

AWS認定試験奮闘記